広尾のアッカについて - 天才料理人は如何にして殺されるのか –

私が,「旨いもの愛編その1」で書いたトラウマ(笑)に蓋をすべく,レストランデビューした最初の店は,広尾にあったイタリアン「ACCA」である。知っている人も多いであろう。
娘(可愛い邪魔者)と一緒に入ったのであるが,特徴的なのはその素晴らしさと料理が出てくる遅さであった。
ティスプーン1杯ほどのアミューズも含めて1品出てくるのに約30分以上かかった。
確か,7時半頃に入店してコースを食べて会計したのが11時30分を回っていたと思う。
東京駅の最終電車を気にしていたから良く覚えている。
他に特長としては,シェフのご母堂が会計を担当し,弟氏が給仕をしていたことである。

そしてとびきりの特長が,文字通り最高の料理であった。少なくとも,その頃,東京でこれ以上のイタリアンには出くわさなかった。

そして,しばらく通って気がづいたのは,料理が出てくる遅さの原因は,シェフが1品毎の火入れに最大の神経を払っていたからではなかったかということだった。←ここ推定です。外れているかもしれない。
そして,この「遅さ」と「料理評論家の味音痴」が後々シェフを苦しめることとなった。その当時の並いる料理評論家はこの店について文句を付けるのは,この「遅さ」であった。

私は,この店の旨さに惚れ込んで結構通った。
ところが,ある日,料理が早く(普通の店並に)出て来たのだ!
そして愕然としたのは,料理も並になっていたのだ!

私は,その後数年以上この店に年に一回くらいは通った。昔の味に復帰したのではないかと期待して。
駄目だった。
結局,アッカは昨年か1昨年広尾の店を閉めて,シェフは故郷へ帰ったということを聞いて私は彼のために涙した。

有能な天才シェフを殺したのは凡庸な味音痴の「料理評論家ども」である。
レストラン本を本屋にあるだけ買い占めて,評論家どもの得点数を単純に当てにしてレストラン巡りをしていると自然に分かったことであるが,日本の料理評論家はかなりの割合で味音痴であることを理解した。むろん例外はいたがごく少数である。
内装と,客あしらいと,料理の単価(高ければ高いほど良いらしい)が彼らの評価のすべてであるようだ。
これは,現在の素人の料理評価をメインにしたサイトと同根である。すなわち,日本人の大半は味音痴なのである。食都日本?嘘を付くなである。

以上,かなり過激な言葉使いであることをお許しください(笑)