軽井沢 ル・ベルクール

私が15年くらい前に発見した軽井沢のフレンチである。
軽井沢もいつものとおり,レストラン本やサイトを手がかりにして片端から食べ歩いて調べていったのだが,この店を除き酷かった。軽井沢という名前だけでやっているという店ばかりであった。
この店の特色は,肉を主にしたメインを除き(私は生肉,生魚が苦手であるし,信州牛は脂が多すぎるのでおいしいとは思えない。但し,この店でジビエ_イノシシ_を食べた娘は美味しいと言っていたが。),前菜から2,3皿が最高であった。
東京にも滅多にない驚きの店であった。シェフの経歴によれば,コート・ドール(仏蘭西の)にいたと言うから基礎がしっかりしていたのであろう。
谷シェフ(ル・マンジュ・トゥー)が,味は異なるが若い頃提供していたウナギのゼリー寄せに匹敵するような驚きの味であった。

その他の特徴としては,乙女のようなウエイター氏(笑)がいたことくらいか。但し,彼は真っ当な接客をしていたのでまったく私には気にはならなかった。

この店も1,2年前に店を閉めてしまった。
場所と店(建物)が悪かった。
軽井沢の六本辻と言えば最高のロケーションである。しかも建物は西洋貴族の館のような代物で,内装もすばらしいものであった。それらからすれば,シェフはさぞかし高額な賃料を払っていたと思われる。
別荘族は,アルコールが入った後の帰りが面倒だったり,暗い夜道の徒歩の帰りがいやなものだから滅多に外食はしないものである。それに老人にはカロリーの高いフレンチなどは苦手なのだ。
そうすると当然観光客相手にならざるを得ない。
リゾートに来る観光客には不釣り合いの価格なのであったろう。
知った頃は,コースの平均が18,000円くらいであったか。だが,苦しくともそれを維持すべきであったか場所を移せばよかったと思う。
しかるに,同店はコースの価格をだんだん下げていったのである。食材の質を落とせばすぐ味に反映する。苦しい悪循環であっと思う。
今,シェフがどうしているかの情報の持ち合わせがないが,木村シェフ,貴方の料理は最高であったという人間がここにいる。
再起を願いたい。