Shostakovich ets

室内楽の序章ー弦のみ,またはピアノと弦の合わせものー

フォーレの項で,彼のピアノ4重奏曲と5重奏曲に触れたが,
私は,元々,弦楽4重奏曲,弦楽5重奏曲,ピアノと弦楽の室内楽が大好物である。
本稿では,道草として軽く触れようと思うが,そうはならないような気もしている。
とりあえず,私の主観で選んだ分厚い弦の響きをお楽しみあれ。

私に言わせれば,18~19世紀に,分厚く花開いたヨーロッパ音楽は,徐々にその外縁を広げていった。比喩的な話ばかりではなく,地理的にその広さを広げていったのである。

その外縁のひとつであるルーマニアには,この人が生まれた。既に別稿で触れた。
Bela Bartok

そして,もうひとつの外縁国の↓この人の真骨頂は,鋭いリズムであると思うのは私だけではあるまい。
□ Dmitrii Dmitrievich Shostakovich
1906年9月25日- 1975年8月9日
ロシア帝国の首都サンクトペテルブルクに生まれる。目つきはともかく童顔である(笑)。
この人は,私が若い頃は,本物の天才かどうか疑いの目で見られていたことがある(今もかな)。だが,この音楽家の弦楽4重奏曲とメロディ溢れる小品を聴けば疑うのは愚かであることはすぐわかる。こういうメロディを造り出す人に凡才はいない。数多くの天才作曲者に美しいメロディをかけない人間はいない。

こういう天才を輩出する政治形態(圧政型の)はその意味では悪くないとも無責任に言えるが,今のロシアは酷すぎる。

5 Pieces for 2 Violins and Piano
Diet Tilanus, violin
Nicholas Santangelo Schwartz, cello
Anna Fedorova, piano
元々,vn 2丁 と piano の曲だが,私は,低音部の vn を cello に置き換えた演奏の方が好きだ。

Waltz No. 2
by André Rieu
でも,彼はワルツが好きだよね。

Dance of the Dolls
by Timofeyeva

String Quartet No. 8
by Borodin Quartet
の美しさは例えようがない。
今では,交響曲の作曲者として名をはせているが,その本領はこういう室内楽にあるとっ言ってよいと思うのは私だけではない。

string quartet No.3 Op. 73 , 3
by David Oistrakh Quartet

Romance The Gadfly Suite
by Nicola Benedetti
ご存じのとおり「馬の蠅」という映画のために書かれたもの。

□ Tchaikovsky
Souvenir de Florence, Op. 70
Pyotr Ilyich Tchaikovsky
by Borodin Quartet
彼の曲は,私はあまり聞かない方だが,これは外せないな。6本の弦が彩なす魅力がいっぱい詰まっている弦楽6重奏曲だ。対位法を駆使した部分も魅力的だし,後ろから火で炙られるような切迫感もなんともいえずよい。
彼の曲があまり好きではなかったのは,Symphony No.5 の吹奏楽アレンジの曲を中学校の時に散々吹かされて飽きが来ていたことかな。
そう中学卒業後ペットを触らなくなったのもそのせいだ(笑)。

Souvenir de Florence, Op. 70 by Sarah Chang
I. Allegro con spirito
II. Adagio cantabile e con moto
III. Allegretto moderato
IV. Allegro vivace
Violin: Sarah Chang
Violin: Bernhard Hartog
Viola: Wolfram Christ
Viola: Tanja Christ
Cello: Georg Faust
Cello: Olaf Maninger
私が感心したのはこの演奏が最初だ。サラ・チャンの演奏を聴いたのもこれが最初。

Piano trio op.50
Leonid Kogan
Mstislav Rostropovich
Emil Gilels
これもよく聞いたな。セロがうまいなどと三名人の演奏に評価を加えるなど恐れ多いわ(笑)

    Trio élégiaque pour piano, violon et violoncelle n°2 op.9
    Rachmaninov(composer)
    Leonid Kogan, violin
    Fiodor Luzanov, cello
    Evgeny Svetlanov, piano
    上の曲と対句のようにしてよく聴いていたな。

☆ piano
The Seasons, Op. 37a, TH 135 – 10. October: Autumn’s Song
by Vladimir Ashkenazy
初めて聞いたが,文句の点けようがないいいできだ。

□ Alexander Borodin
String Quartet No. 2
三楽章のノットルノは誰もが知っているはずのメロディ。でも,その他の楽章も美しい。
皆さんよくご存じの「日曜作曲家」と卑下していた作曲家の弦楽4重奏曲である。彼は,大領主の諸子として生まれ農奴の父の籍に入れられた。但し,頭の良さは写真によく現れており生化学の著名な研究者となり,生化学の教授にもなった。
残念ながら割と短命に終わったが,長らえてもあまりに本業で忙しかったから名曲を続々生み出せたかな。

Dover Quartet
こいつらのノットルノ上手い!
録音も良いし。久しぶりに若手の有望株を発見。

□ Nikolai Kapustin
Eight Concert Etudes, Op. 40
Nikolai Kapustin(composer)
カプスーチンは,調べたら2年前に亡くなっているね。一時期かなり聞き込んだことがある。

□ Dvorak
彼をここで取り上げるのはちょいとそぐわないが。
American Quartet
The Dover Quartet
Joel Link, Violin
Bryan Lee, Violin
Milena Pajaro-van de Stadt, Viola
Camden Shaw, Cello
ドボラークは,聞きやすいし,若い頃は結構聞いたが,その後はさっぱりだ(苦笑)。なぜだろう。思い当たる節が無い。室内楽もたくさんあり全部聞いているが。
こいつら文句なく上手い。特に,ビオラが出色だ。

□ Issay Dobrowen
イサイ・ドブローウェン
1891年2月27日 – 1953年12月9日
ロシア出身の指揮者・作曲家。ロシア語名は、イサイ・アレクサンドロヴィチ・ドブロヴェイン(ロシア語: Исай Александрович Добровейн)。ノルウェーを活動の拠点とし、1929年に市民権を得てノルウェーに帰化した。とwikiにはありました。
この作曲家は知りませんでした。
でも↓彼の書いたピアノ曲 エレジー の泣かせるところが好きです。
Elegy
by MX Chan

□ Adolf von Henselt

1814年5月12日 – 1889年10月10日
バイエルン王国シュヴァーバッハ出身。ロシア帝国に渡って、ロシア・ピアノ楽派の基礎を築いた。と wiki にあった。
ドイツ・ロマン派音楽の作曲家
wiki によれば,「ヘンゼルトの演奏の特徴は、フランツ・リストの響きの豊かさと、旧師フンメルの滑らかさを兼ね備えていた点にある。その演奏は詩情に満ち、カンタービレ奏法では並び立つ者がいなかった。リストでさえ「ビロードの掌」羨んだ。
セルゲイ・ラフマニノフはヘンゼルトを非常に高く評価しており、自身に最も大きな影響を与えたピアニストであると見做していた。」とある。

知らなかった。この時代,東欧のピアノ弾きに知らない人物が多いな。ピアノというのは極めて作曲家の内面に密着する楽器ですね。

Pressentiment, Op 20-1
by Monica D’Angelantonio

Romance, Op.10

彼は極端にシャイな人物で,ステージに上がることさえ一苦労だったらしい。
wiki によれば,パラノイアすれすれの舞台恐怖症のために、33歳までに演奏界から身を引いているとある。

Valse mélancolique, Op.36

Grande Valse: “L’aurore boréale”, Op. 30
by Daniel Grimwood

□ Theodore Akimenko
Chant d’automne, Op.16/1
wiki によれば,1876- 1945 で,
彼は,ロシア帝国のハリコフ政府のハリコフで生まれ、パリで死んだそうです。彼はサンクトペテルブルク音楽院で教え、イーゴリ・ストラヴィンスキーの最初の作曲教師の一人でした。とある。
感傷的な曲ですがいいですね。

□ Gennady Lukinykh
ジェナディ・ルキニク
Romance
あるサイトによれば,
ジェナディ・ルキニク (Gennady Lukinykh) は、才能のある現代の作曲家です。この作品は2011年9月7日から8日に作曲されたので、ほぼ正確に10年前です。
Lukinykh Gennady Igorevich 1965年6月1日生まれ。ソ連,ロシアの作曲家で、彼は、ネオバロックからジャズまで、さまざまなジャンルとスタイルのピアノ作品の作者です。
とある。あまりに時代錯誤な作曲者のような気もしますし,ほとんど映画音楽というべきかもしれないが,ある種の現代音楽の潮流という感もありますが,こうゆう情緒たっぷりな曲も好きですね。
容易にギターの二重奏にできそうだが,意味が無いな。

□ Vazha Azarashvili
ヴァーシャ・アザラシヴィリ
Nocturne in B flat minor
ジョージア生まれ

wiki によれば
「1936年に民族音楽の愛好家の家庭に生まれた。彼はIVミュージックスクールにてアレクサンドル・シャベルザシビリ(Alexander Shaverzashvili)教授の作曲のクラスとトビリシヴァーノサラジシュビリ州立音楽院のイオナ・ツスキア(Iona Tuskia)教授の作曲クラスで学んだ。
1964年、アンドリア・バランチヴァーゼの率いていた音楽院を学位を取得して卒業した。1961年以降、自身の創造的な音楽活動と並行して教育活動に従事してきた。現在、州立音楽院の教授を務め、1998年から2007年には、ジョージア州の作曲家連合の議長を務めた。」とあります。存命(?)の現代人ですね。
時代錯誤な美しい曲を書いています。
東欧生まれの作曲家と言うことで宜しく(笑)

□ Sergei Sergeyevich Prokofiev
1891年4月27日- 1953年3月5日
いうまでもなく大物である。でもこの曲くらいで私的には十分(笑)。
現ウクライナ東部で生まれる。
ショスタコと同様,ソビエト政府からにらまれた作曲者である。
Sonata for Flute and Piano Op. 94
flute Galway
piano Argerich
定番と言うべき演奏がこれ。小生もだいぶ練習したのだが(苦笑)

Prokofiev Toccata op.11
Martha Argerich playing
こいつも聞いてやって良い(笑)。
アルゲリッチも60台か。少し,打弦が弱くなったかな?

続く