マティーニ

若い頃は,スコッチが嫌いだったからジンをよく飲んでいたということは別稿に書いた。
他に,客に上品なバー(まだ本式のバーというものが少なかった時代である。)に誘われたりすると下品なジンばかりという訳にはいかなくなるから,水割りならバーボンを飲んだり,カクテルならマティーニ(これなら馬鹿にされるまいと思って)を飲んでいたりしていた。

そのうちあまのじゃくを発揮して,マティーニと言えばドライと冠される強いばかりのもので,正直,あまり旨くないなと思うようになり,また,ドライじゃないマティーニもあるなら飲んでみたいと思うようになった。

それで,ふざけ半分でドライでないマティーニを注文することがあった。
そしてドライでないマティーニというと極く当たり前のように出してくれる店があることが分かってきた。
湯島のエストのような本物の店である。

レシピ
・ドライマティーニ
ジン  1
ドライ・ベルモット(白ワインにニガヨモギなどの香草やスパイスを配合して作られるフレーバードワインである)  1/4くらい
レモンの皮
オリーブ

であるが,ドライでないものはどこが違うかというと,

・(ドライでない)普通のマティーニ
ベルモットの量を2倍くらいにするだけ。本来のマティーニはこちらである。

これで大分飲みやすくなる。
アルコールに強い白色人種の真似をする必要は全くない。
特に,ドライを強調するあまり,ベルモットのコルク栓の匂いを嗅ぐだけのマティーニなどというのはスノブの戯言である。

ただ,もう普通のマティーニを飲むことも希になってしまった。