□ 回鍋肉

極くありきたりの中華料理を美味しくする方法

我が料理の原点は四川料理である(ホホホ)。
王馬煕純先生(大正9年生まれ)の「NHKきょうの料理中国料理」が中華料理の最初の参考書であった。
我が輩が今でも保管しているこの書も,もう,ぼろぼろで,料理のしみがたくさんついている。
そして,この本に基づいて作ったどの料理も修習生の私にはとても美味いと思ったものである。
ただ,この書は,未だ中華料理の調味料が日本の家庭にほとんどない頃の料理本(昭和51年刊行)で,それらの使用を適宜端折っている本である。但し,これはその当時の事情からすれば已むを得ない。今だって,日本の中華料理店の料理は,中国のものとは大分違う。これは上海人に教わったので本当である。
中華料理はこうして全世界の舌になじませつつ世界に広まったものだ。

この本でも,バラ肉は1時間煮ろとちゃんと書いてある。回鍋とは,一度煮たものを再び鍋に返して炒めることを意味しているものだともちゃんと書いてある。中華料理の秘訣はここである。2度手間をかけるということだ。
但し,その他の我が方法はだいぶ変わってきた。

こつ
1 バラ肉はかたまりのまま,ショウガの薄切りと適当に切ったネギを加えた水から1時間~2時間煮て(こつ1)そのまま冷ます。このくらい煮ると肉の性質が代わる!ことが実感できるはずである。なお,茹でてできたスープは,そのまま豚汁などに使える。

2 常温に戻した煮豚は,包丁をよく研いで,極力,薄切り(こつ2)にする。

3 キャベツ(中国では,大蒜の芽などを使うが)などの野菜は,油通しをしておく(こつ3)。

4 薄切りにした豚肉は,中華鍋で炒めて油を出して,その油で豆板醤を炒める(こつか)。

5 甜麺醤と豆鼓醤の他に,昆布茶を小さじ一杯使う(こつ4)。

その余はレシピ本の通りで結構である。

以上四項目を厳守すれば,町の中華屋の味に負けない回鍋肉が出来る。

以上を遵守すると油まみれの料理を食べることになるが,美味い料理は健康的でないものである(笑)。

中華料理は油を食う料理であると達観すべし。それに中国人はそれほど太ってはいない(笑)。