□ Stabat Mater のこと

プーランクの項で Stabat Mater と名前の付く名曲群について触れましたが,Pergolesi の名曲で味を占めて,いくつの頃かも覚えていない大分前に Stabat Mater という名前の付いた CD を買い漁ったことがあります(笑)。ほとんどが大当たりでした。

Giovanni Battista Pergolesi
Ensemble: Ricercar Consort
Conductor: Philippe Pierlot
言うまでもなく,スターバト・マーテルというと真っ先にこれが思い浮かびます。
ペルゴレージュは,もう少し長生き(結核で26才で昇天)すれば Bach に並ぶような名声を後世に博しただろうに誠に残念。

Domenico Scarlatti
BBC Singers
Conductor: John Poole
スカルラッティも珍しく感傷的な名曲を書いています。

Antonio Vivaldi
Andreas Scholl – Countertenor
Chiara Banchini
カウンターテナーであるショルの古楽様式に準拠した歌い方にも好感が持てる。この人若い頃は声の良さだけで勝負している人でしたが精進したんでしょう。本当に巧くなった。偉そうに(笑)

Joseph Haydn
The English Concert & Choir
Dir.Trevor Pinnock
ハイドンも書いてますね。

Dvorak
Jansons, Bavarian Radio Symphony Orchestra
天性のメロディメーカーの旋律が美しいのは当然。

Karl Jenkins
by Karl Jenkins.
ジェンキンズの説明は不要ですね。
但し,あんまり演奏も録音も良くありませんが。

Marco Frisina
現代人です。wikiによれば,「1954年12月16日,ローマ生まれで,イタリアのローマカトリックの司祭で作曲家です。彼はバチカンの牧歌礼拝センターの所長です。」とありました。
これは知りませんでした。現代のローマカトリック教会侮るべからず。バチカンの聖職者までがこんな立派な曲を書けるとは。
Stabat Mater という呪文の類い希な魔力のお陰のように見えます。異教徒からすると(笑)。というか聖書というおとぎ話の中の唯一最大の子供を喪った母性への哀れみという普遍的なものの力でしょうか。
リリースは 2003年とのこと。
詠唱は地声で歌わせていますね。凄くぐっときません?

Arvo Part
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
Con Kristjan Jarvi
Arvo Part の説明も不要ですね。

Agostino Steffani
Voices of Music
Hanneke van Proosdij and David Tayler
Directors
この人も曲も知らなかった。悪くない。

Zoltan Kodaly
コダーイも書いてる!調性豊かで,なかなか良いな。
コダーイと言えばバルトーク・ベラの盟友で Sonata in B minor for solo cello, Op.8 などというバリバリの現代曲を書いているとしか私の頭にはなかった。こんな曲(LPを持っていた^^;)誰も知るまいと思っていたのですが我ながら古びたな(笑)。

Giuseppe Tartini
この人も曲も知らない。
Released on: 2013-01-01 ですもんね。CDの買いあさりは終わってました(笑)。

Paul Mealor
この人も曲も知らない。スターバト・マーテル,果てが見えません。恐ろしい(笑)

その他
Palestrina
Gioachino Rossini
Szymanowski

□ Ave Maria のこと

Stabat mater は,Stabat mater dolorosa から取られ「悲しみの聖母は立ちぬ。」と訳され,我が子イエスの死に立ち会う母を唄ったものですが,これに劣らぬ名曲があるのが,アヴェ・マリアです。
アヴェ・マリア(ラテン語: Ave Maria)は、ラテン語を直訳すると「こんにちは、マリア」または「おめでとう、マリア」を意味する言葉で,受胎告知を受けたマリアを祝福する意味だとされます。
故に,西洋の音楽家が,ぞろぞろ名曲を書く由縁である。

しかしながら,シューベルト,カッチーニ,グノー(ここまでを3大アベ・マリアという。),ピアソラ,ピエトロ・マスカーニくらいしかアベ・マリアの名曲が見当たりません。今回,新たに発見したのは以下のもの程度です。
「ぞろぞろ」と形容して,スターバトマーテルと同様たくさんの名曲が作曲されていると期待したが名曲はさほど発見できない。どうしてだろうか。バロック期前に遡れば良いのか。
きっと処女懐胎という嘘くささに作曲者が耐えられない反応をしているからでしょうか。

Robert. Prizeman
Robert. Prizeman (composer)
by Luminos Ensemble
珍しい曲から。
作曲者の生没は,1952 年 2 月 28 日 – 2021 年 9 月 8 日で,英吉利人です。長らく合唱指揮者として働いていて,少年合唱団Liberaも設立し,2010年には、王立教会音楽学校のアソシエイトに就任していますから,教会関係者ですね。多数の教会合唱曲を書いています。
なかなかぐっとくる名曲です。
   オルガン編曲はこちら。

William Gomez
William Gomez (composer) 1939-2000
by Olga Zinovieva(chant)
この作曲者も,彼が書いたこの曲も知りませんでした。
彼は,ジブラルタルのギタリスト兼作曲者で,この曲は癌に冒された最晩年(2000年)に書かれた曲だそうです。
作曲者の魂に「間違いなく,貴方の曲は音楽史に刻まれて永遠の命を得るでしょう。」と言っておきましょう。
なお,オルガ・ジノヴィエワは,ロシアのソプラノ。私好みの暖かい声ですね。この曲は,オルガの十八番らしい。
    ゴメスのマリアを唄いたくなった方は,こちらでどうぞ。
原調と違うような気もするが。低い分にはいいでしょ(笑)。

これだけ世界中の名曲を聴いていると簡単にメロディが浮かんできそうになるが,「きそう」になるだけで浮かんで来やしない(笑)。