□ Schumann< シューマンと題してみたが,うーむ難しい。あまり身近すぎる作曲者だからどう書いていけば良いかよく分からない。

 合わせもの

Schumann: Piano Quartet in E Flat Op. 44
Daishin Kashimoto, Violin
Martha Argerich (piano)
Dora Schwarzberg (violin)
Lucia Hall (violin),
Nobuko Imai (viola)
Mischa Maisky (cello)
もうこの曲の定番演奏と言ってよいでしょうね。

Andante Cantabile op 47 III. Andante cantabile
Joyce Yang, Piano
Amy Schwartz Moretti, Violin
Beth Guterman Chu, Viola
Carter Brey, Cello
この三楽章 Andante cantabile のセロの旋律を聴いて美しくないという者はいるだろうか。
涙を浮かべて聞く者もいるだろう。大昔の私です(笑)。
こういう歌の旋律はシューマンにしか書けないだろうな。シューベルトの従兄弟ですね。
この演奏悪くないが,もう少し弦の丁々発止が欲しい。特に,Vn が物足りない。セロの旋律を妨害してはいけないという思いからでしょうが,テュラ,テュラという部分を極く控えめに弱く弾いてしまうという誤りを犯している,シューマンは一音たりとも無駄な音など書いていませんよ。曲に対する理解が足りない。各声部が繰り返しのごとく同じメロディを弾いていくだけではシューマンの深い思いに至らないのです。Va が主旋律を歌っている時も同じ誤りをしています。たらりらららという部分はしっかり歌わなくてはなりません。しっかり歌えば va も頑張って歌い始めるのです。
旋律が美しいシューマンの曲は旋律以外の細部(「細部」ではないのですが)を疎かにしてはなりません。アナリーゼをちゃんとしているのか(私は怒っています:笑)。
Va は楽器がさほどの名器ではないのか音に深みがない。楽器が鳴らないならその体で鳴らす(セクハラだろ:笑)んだという思い,迫力が不足です。
しかして,すべては初老(か)のセロ弾きである貴方の指導不足です(笑)。というか,Vn に主旋律が移った以降の Vc の実に美しい副旋律が聞こえてきませんね。
主旋律の美しさに演奏者は酔っ払ってはいけません。シューマンの深い思いに基づく仕組みをどうしてくれるんですか。
やはり貴方が元凶です。セロの美しい副旋律を歌わせないから曲がうすっぺたいものになる。年長者が主旋律以外のパートの重要性を若い演奏者にその演奏で教えないから若い演奏者もこんなもんでいいと思ってしまうのです。罪は非常に深い。
情けない。唯一まともな音楽家は piano だけですね。このくらいで満足していてはいけません。
私の持論ですが,こういう室内楽は他の演奏部を(得意な楽器で)弾いてみるべきなのです。そうすると他の声部の素晴らしさが分かるから(分からなければ音楽家やめてしまえですね:笑),自分がその音を弾く場合の演奏が分かるのです。

いろいろな名人級のアンサンブルも聴いてみましたが,以上に指摘の点についてクリアしているグループでも他の粗が見えたりしてやはり美しい曲を演奏するのはいかに難しいかということが分かりました。シューマンよ,亡くなってから随分経つが未だに君の名曲を完璧に演奏する者はいないようだよ。君のメロディが美しすぎるからだろう。君が一番の原因だ。

Piano Trio No. 1 in D Minor, Op. 63
Violin-Kyung Wha Chung
Piano-Andre Previn
Cello-Paul Tortelier
あまり聞かれない曲だが私は好きだ。

Trio No3 Op. 110
The Munich Dvorak Trio
Gitti Pirner, piano
Janos Maté, violin
Franz Amann, cello
曲もいいが,演奏も傑出だ。
シューマンらしいロマンティックな心の曲だ。
クララ・シューマンは「独創的で、どこをとっても情熱に満ちている」と形容したようであるが,将に,そのような曲である。

 

Drei Romanzen Op. 94
Celine Moinet
Florian Uhlig
なかなかの名曲です。
私もこの楽章は当然のごとく横笛で試みました(笑)。

同上
なかなかなカラオケです。

□ Lieder

Du bist wie eine Blume
Elly Ameling
君は花のように
クララと結婚するロベールがその前日に書いたことで有名である。

同上
Dietrich Fischer-Dieskau
ドイツ語圏での天才歌手はこの人ですね。中,高校生の頃,この人の演奏でシューベルトの3部作をLPがすり減るほど聞いていたものだ。

閑話
スゼーの若い頃のこの曲の演奏を聞いていたら面白いことを発見した。
スゼーは,天性の天才だったのかと思っていた。ところが,若い頃の演奏は本当に下手だ! 若い頃の”Du bist wie eine Blume”のビブラートなんかは本当に「ちりめん」と揶揄してもかまわない出来だ。それが日々精進を欠かせなかったんだろう。フォーレの例の勲章をもらったアルバムを歌う頃には,根っからの天才以外のなにものでもない歌手のように思えた。精進を欠かさずに年齢を重ねたのだろう。芸術家として,人として将に尊敬に値する人物であろう。

同上
Mezzo Soprano Pia Heise
Roger Vignoles
少し声が細いがいいな。

op.107: No.1 Herzeleid
憂い
Hanna-Elisabeth Muller
Juliane Ruf
ハンナはさすがに自国の作曲者の曲を歌うのは旨い!

Aus den hebräischen Gesängen
Edith Wiens

Dichterliebe, Op.48 – 9. Das ist ein Floten und Geigen
Dietrich Fischer-Dieskau
Christoph Eschenbach
ああ,Floten und Geigen の音だ。最愛の女の結婚の宴でトランペットが歌っている。
それほど有名ではありませんが,シューマンというとこの曲が頭の中で響く。
但し,いつもの天才の演奏がこの曲では少し違和感が感じられる。
シューマンは,詩(歌)と音楽が不即不離の音楽家だ。この詩の内容はいうまでもなく,詩人の思い人の結婚式の音楽が鳴っていることに対するものだ。そりゃ,思いを寄せていた女の結婚の宴に恨みや激情にかられる者もいるだろう。だが,(天使にそれを)聴かされているのは詩人だ。うっすぺらな激情よりは深い哀しみが彼の心に突き刺さっているのではないのか。最終段にも天使も泣いているという言葉があるだろう。そうすると天下の美声であろうとなかろうと大声で歌い通すべき曲ではない。フィーシャディスカウもハンサムな男だからこういう境遇に身を置いた経験がないに違いない(笑)。大歌手にモンクを垂れるなんぞ。私も偉くなったもんだ(笑)
この曲をもっと遅く,うめくように歌う歌手はいないだろうか。

Fritz Wunderlich · Hubert
この曲に関しては,こちらの方が良いかなあ。難しい。

Liederkreis, op. 39
Dietrich Fischer-Dieskau

□ piano
Sonata No.1 in F-sharp minor, Op.11
Murray Perahia
彼らしいシンコペの名曲ですよね。恥も外聞もなく統制もないまま聴きたい曲ばかりを挙げています。
私は,アルゲリッヒの LP で聞いたかな。

Fantasie in C, Op.17
Leif Ove Andsnes

Symphonic Etudes, Op. 13
Daniil Trifonov
録音 & up に文句はない(苦笑)
渋い曲だが美しい。

Humoreske Op. 20
Alicia de Larrocha, piano
目立たないがシューマンらしい歌心が溢れている曲だ。

Fantasiestücke op. 12
Martha Argerich
アルゲリッチの youtube up は,どれも感心しない。音質を押さえているのだろうけれども。
でも,これも定番ですね。

8 Noveletten Op. 21
悪くない曲だ。だが,聞き覚えが無いぞ。
イェルク・デームスのシューマンピアノ全集をもっているくせに(>_<)

Op. 68, No. 16 (Erster Verlust)
短くて易しい曲だが,シューマンの美点があからさまに表出している曲。

シューマンも延々と続きます。とりあえず頭出しだけ。最近,こんなんばっかり(笑)