おこがましくも書いてみました。あるところに書き込んだものです。
登山技術編(初心者向け)
痛い失敗談にも基づいています(笑)。
歩く技術
山で歩くのは下界より遙かに難しい技術を要します。そう思って読んでください。
登山で最も怪我が多いのは,ぼんやり又はおしゃべりをする等他に注意を逸らされて歩行している時に転ぶことを原因とします。
山で転ぶと足をくじきます。各部を骨折することも。下手をすると滑落して死ぬかもしれません。「きれい」とか言って浮かれて歩いている場合ではありません。
☆☆山で転ぶのは危険
原則 下記に注意して転ばないでください。
☆危険な足許
腐朽した倒木,苔むした又は濡れた木道もしくは濡れた又は苔がついた岩は滑りやすい。
落ち葉の道は滑ります。
粘土土は滑りやすい。
登山道脇の草付きの下には地面がない場合がある。そういうところにストックや足を置くと道から転げ落ちます。経験済み(笑)
浮き石と言って地面に固定されていないグラグラした石や岩(結構大きいものも)があります。
崖地や雪渓を横切る場合は体を地球に対して90度に立てて歩きましょう。
崖に沿った狭い岩場を歩くときは,怖くて岩場にしがみついてしまうと上半身が傾いて不安定になり足許が滑ってバランスを崩して岩場から落ちます。怖くても崖から上半身を離して体を地球に対して90度にして歩きます。
ロープや鎖があったりしても同じです。不動の手すりではなくロープや鎖にしがみついてしまうとなんらかのはずみで体が一番低い位置に振られて体勢が崩れたり足が外れたりして危険です。不動の岩などをまず手がかりにして,ロープなどは補助的に考えるくらいで良い。なお,ロープや鎖は抜けたり切れたりしないと保証されているものではありません。
崖際などを歩いているときは背中のバックパックの出っ張りを岩角に引っかけないようにします。引っかけると背中の岩から押されることになり崖下に落ちます。
視線を急に動かすと幻暈がして足許が不安定になります。狭い足場を歩くときは急に視線を動かさないようにします。
☆疲れない歩き方
脚力を極力使わない。といっても分からないよね。体重移動で歩く。あまり足を挙げないで1歩前に足を置く、そのまま体重を前の足の前の方へ移動する。そして,両足で体を押し上げる。
降りの方が足に負担がかかることに注意する。
歩幅は広くしない。小股で。
股を高く挙げないでフラットに歩く。階段部分はなるべく避け回り込む。
急坂はZ状に登り降る。
降りはゆっくりと小股で歩く。急な坂はすり足くらいで良い。
降りは走ったり早足をしてはならない。足を痛める原因となる。
休むときは足を急に冷やさない。
☆こつ
先行者が歩いていた跡(滑った跡など)を観てください。足下がどうなっているかの手がかりになります。
転ぶことを意識していると転んでも怪我はしないものです。ストックも活用しましょう。
急坂や大きな段差を降るときは,腰掛けたり,しゃがんだり,四つん這いなど全身や利用できる手がかり(木の枝,岩など)を使って(但し,手がかりに過信は禁物)通り過ぎましょう。急な段差は尻を地面に付けて足を降ろすと衝撃が少ない。但し,尻を地面に付けても足が下につかないくらい深い段になると危なくなります。
既存のロープなどを利用すると却って危ない場合がある。
歩き方もたくさんの解説が youtube に挙がっています。
☆☆道迷い
遭難原因の4割が道迷いです。道迷いは誰でもします。
15時までに(厳守)宿に着くようにしましょう。
暗くなってからじゃ,ここどこということになります。山では目印(ピーク,山の形,電線)が遠いところにしかありません。暗くなると遠いところは見えなくなるか,どこも皆同じに見えます。ヘッドライトは当てにはできません。だいたい暗いところを歩くのは怖いでしょう。道迷いが増えます。足許が分からず転ぶ可能性も増えます。
迷う前のところに戻りましょう。但し,山では行きと帰りの風景がまったく異なって見えるから出来れば道しるべ(森の中の岩,特別な木の傾き,個性的な岩などなんでも)を覚えて歩きます。
迷ったら下ってはいけない。
道が消えても降れば必ず道に出るとか,沢沿いに降ればどこかの道に出るはずと考えて降るのは厳禁です。遭難の典型例です。
貴方が下って出くわすのは崖であり,溺れるか滑落する沢です。そして散々無理に下っているから戻れなくなるのはまだしも、無理をすると滑落する,滝口にでてしまう,沢で溺れるなどに至ります。
降るのではなく登る(できれば稜線へ)が正しい。
歩くのが困難な道は誤っている可能性が高いのです。ですからそのような「道もどき」を下ってはいけません。
☆地図とコンパスをちょこちょこ出そう。
登山服の胸ポケットはお飾りではありません。コンパスの紐もそうです。
ちょこちょこ胸ポケットに入れた地図,高度計,gpsや首に吊り下げたコンパスを億劫がらずに出してどの辺にいるかを判断しましょう。地図をみて地形を想像し,ランドマーク(送電線,高い独立峰,登山道の分岐)から,現在地や行く方角が判断できるようになったら一人前です。
シルバーコンパスの使い方&地図の見方も youtube にたくさん up されているので参考にしてください。「山好き移住者の日記 by もじゃまる」がわかりやすい。
また,現在は地図アプリという便利なものができました。但し,スマホは電子機械ですので落としたら壊れることもあります。寒いところで使うと直ぐ電池がなくなります。信頼できるバッテリィを持ちましょう。一時休んで出発する場合にはその余のものと一緒にスマホを忘れないようにしましょう。
正しい道を歩いているか疑問に思ったら焦らず記憶しているところまで戻ります。本来の道が倒木で行き止まり状に見えてるといるような場合も結構あります。分岐では十分な注意が必用。
不思議ですが,山小屋付近で道迷いするケースも結構あります。登山道が小屋周りでは四通八通しているからです。小屋の目立たない裏側に分岐道があったりします。
のっぺりしたはげ山の頂(白馬山頂など)も悪天候(ガスっていた場合が最悪)の場合は迷いやすい。オレどっちへ行くんだになります。
道標が間違っている場合もあります。示す方向が変だろうという道標も結構あります。
分岐点で狭い道の方が正しいという場合も普通にあります。
踏み跡がたくさんあるところも迷いやすい。地図の等高線の混み具合などから正しい道を発見できるようになりましょう。
沢を渡って進む場合も迷いやすい。沢は増水した場合などには踏み跡が流されてしまう場合が多いのです。対岸をよく見ましょう。
迷いやすい分岐には必ず道標があると思ってはいけません。理想的な道標はむしろ少ない。分岐で道標がなかったら夫々の道を少し行ってみます。そうすると道標があったりします。困ったもんです。
人が歩く登山道かと思っていたらいつのまにか獣道に迷い込むこともある。
あなたの歩いている山は(普通)極めて著明な山でたくさんの人が登山道を行き来しています。木道,橋や道標が苔だらけだったり朽ちていたら、正しくない登山道に迷い込んだのかもしれまん。
こういう人が歩いている道かは姿勢を低くして道の状態を観察すれば必ず分かります。石や岩に靴をこすりつけた跡があるとか、広く汚れているとか,土のところに靴跡があるとか。枝は邪魔にならないように折った跡があるとか。人が多く入っている山の道はわかりやすく,そうでない低山(1000m程度)は迷いやすいと言えるでしょう。苔がいっぱい付いている道や岩は正しい登山道ではない場合が多い。
テープを頼ってはいけない。
テープが巻いてある枝などは冬道や本来の登山道でないものがほとんどです。テープを巻くのに法律上の決まりなどはありません。
岩稜帯であれば、岩につけられた丸や矢印のペンキマークを見逃さない。これは有効です。
工事用道路が登山道を潰しているところも迷いやすい。林道の対岸を歩いてみて繋がる登山道を発見しましょう。
その他歩行等のルール
安全には関係ありませんが,暗黙のルールがあります。
1)登りを優先する。
2)「こんにちわ」と挨拶する。
☆休みの技術
疲れたらちょっと休むようにするのも効果的。
昔の人は棒を体の後ろの荷物の支えにして立ったまま休んだそうです。一本立てるとも言う。
体を冷たくなるまで冷やさないように。
水もきちんと飲みましょう。寒いと億劫になりますが脱水すると疲れが出やすいのです。
出発するときは必ず忘れ物がないように辺りを見回す。
忘れ物があっても引き返せないでしょう。
以上の通り,山ではぼんやりしているときはあまりありません。
誰です?浮かれて登山道を歩いているのは。