K.Szymanowski
カロル・マチェイ・シマノフスキ
1882年10月3日 – 1937年3月29日
シマノフスキも独立させてしまいました(笑)。
The Swan, Op. 7
Karol Szymanowski(composer) 1904作
Reinild Mees (tenor)
Piotr Beczala (piano)
22歳の作品かこれが。紛れもない天才の筆だ。こんな名曲と名演がこんな回数しか聞かれていないなんて。
シマノフスキの歌曲は初めて聴いたがいいな。私好みの曲だ。
聞けば聞くほど名曲の感がある。それなのに up がほとんどない。最高音が♭Gなんだからテノールが歌えないわけがない。詩がポーランド語の難解な現代詩だからだろうか。残念だ。私が歌手だったら十八番にするところだ。
F.ブリッジとは,完全な同時代人です。生年月日も3年しか違わない。調性を見失うと音楽もつまらないものになる傾向も同じ(;_;)。この時代の音楽家は調性を崩さないと古くさい,時代遅れと言われかねない情けない時代だったようです。 私の定義によれば「音楽ファッショの時代」と言います(笑)。一部の例外を除き音楽にとって無為な時代と言って良いでしょう。調性豊かであろうが無調であろうが,音楽の質には無関係です。言い切る(笑)。
Arnold Schönberg 1874年 – 1951年
Anton Friedrich Wilhelm von Webern 1883年 – 1945年
Alban Maria Johannes Berg 1885年 – 1935年
この3名(新ウィーン学派)に共通なのは,後期ロマン派から出発して,無調や無調もどきに行き着いたという者たちだ。そしてその頃の音楽の流行を作っていた者たちでもある。
無調音楽が悪いというのではない。つまらない曲だからいけないのだ。
現代音楽をつまらないものにした元凶たちだ,と,言い切る(笑)
例えば,
Dem Andenken eines Engels ある天使の思い出
Akiko Suwanai – violin
Gustav Mahler Youth Orchestra
Pierre Boulez – conductor
ベルクというとこの曲がよく取り上げられ,諏訪内晶子とプレーズのこの演奏が出色なのだろうと思うが,私には酷い違和感しかない。新ウィーン楽派は私には鬼門です(笑)
まあ,ショーンベルクの初期の後期ロマン派の曲は「浄夜」(by Pierre Boulez Ensemble Intercontemporain)など聴ける物があるが。
Gurre-Lieder, Vorspiel (Prelude)
by Juliette Journaux, piano
グレのピアノ編曲版を初めて聞いた。これは出鱈目にいいじゃないか(笑)。
Schoenberg : Gurre-Lieder, Vorspiel (I. Prélude Orchestral)
Transcription pour piano d’Alban Berg
とあるのでオリジナルのコーラス付きオーケストラ曲をアルバン・ベルクが編曲したんですね。これは両者の才能を認めるしかない。
Arr. A. Webern) : Vorspiel (Prelude)
Artist: Urs Liska
Artist: Irmela Roelcke
Artist: Götz Schumacher
Artist: Andreas Grau
グレのウェーベルン編曲も悪くない。
でもベルク版が出色だな。
Gurre-Lieder
by Rattle · Berliner Philharmoniker
確かに後期ロマン派の集大成と言われるだけあってこの辺までは聞ける。でも作曲者のショーンベルクは無調に踏み込んでいて満足していなかったようだ。「この作品が聴衆に受けることは分かっていた」と傲慢に述べていただけのようだ。こういうところ好きだな(笑)
でも久しぶりに Robert Craft の棒で聞き直したが,やはり「浄夜」に遙かに及ばない。緊張を欠いた下手なオペラを聴かされてる気分になる。
シマノフスキも年齢として重なっているでしょう。可笑しな影響を受けなければ良かったとつくづく思う。
↑は,死んだ母親について書いた曲らしい。詩は探したが訳も本文も見つからない。ポーランド語のせいか。
男は得てして,死んだ女(母親,妻,想い人)に強い執着を示す場合がある。我が国のある女流詩人が唄うように「男は好きな女がはやく死んでくれろ」と無意識のうちに願っているのかもしれない。詩人が唄うように女を独占するためにというのは女のうぬぼれ(笑)、言い過ぎだろうが,死ぬことによって年を取らない永遠の母性だけが残るからだろうか。
ポーランド語のサイトに詩がありました。google 翻訳に掛けると,
雲山は鳥に引きずられる
未来の嵐の星のない静けさの中へ、
血まみれの夜明けの陰鬱な恐怖、
疑いの遠い曇った道へ。
私の白鳥、海の憧れから
あなたの才能で神のサインを与え、
あなた、白い夢の鳥、
ああ、ダウン、ダウン、私の占い師!
水の夢からの私の白鳥、
夢には奇跡がある
そして夢の群れで美を紡ぐ!
当事者の希望からの私の白鳥、
幻想の命の君が終わりを告げる。
そして魔法の前奏曲。
というものです。ポーランド語は世界一習得が難しい言語のようですがまったく知識がないので誤訳があるのかも不明ですが「死んでくれろ」を思わせる意味はなさそうです。
それどころか,何を意味するのか?世紀末詩人の詩はこんなもんでしょう(苦笑)
IMLSP に譜が転がっていたので落としてみると,ポ―ランド語にドイツ語が付してあったので分かるところを読んでみるとこの google 翻訳はかなり怪しいことが分かりました(笑)。
作曲は、時とともに三つに転がるようです。
第一期
ショパン、ワーグナー、スクリャービン、リヒャルト・シュトラウス、マックス・レーガーらの影響が明らかなな後期ロマン派の作風
ここが一番心地よい(笑)。スワンは当然第1期の作です(笑)。
第二期 1914年-
混沌,調性破壊,の時期(笑)
ドビュッシーを初めとする印象主義音楽の影響がと言われているが嘘だろう(笑)。
ドビュッシーのようにわかりやすくない。
第三期 1917年-
ボリシェヴィキの一団がシマノフスキ家を急襲し、美術品は略奪され、彼のピアノは池に投げ込まれてしまった。彼はショックのあまり音楽から遠ざかり、文学にのめりこむ。そのうち南部のタトラ山地の民俗音楽に傾倒して行くという民族音楽に目覚める第三期
この時代は結構聞ける曲があります。そのうちに。
ポーランド貴族の没落世代にあった彼の背景を知ろうとポーランドの歴史を漁ってみたが,その歴史は頭の痛くなるような代物ですね。
地勢的な問題が大きいのでしょうが,平野が広く穀物が取れたから東西の勢力に挟まれて支配勢力が混沌として支配を及ぼしている。ご存じの通り近、現代史も悲劇的に混沌としている。
まだ,彼の音楽の方がわかりやすい(笑)。
□ song & piano 歌曲は100曲を超える膨大なものになります。全部は聞いていない。特に,後期のそれらは(笑)
4 Songs from Tagore’s ‘The Garden’, Op. 41: No. 4, The Last Song
1918作 これは創作第三期初期の作品である。
調性を見失うとつまらないと書きましたが,これは,まあ,聞けるかな(笑)。いやいや出色な曲です。
でも創作第1期の作品はやはりメロディアスで良い。
Six Songs, Op. 2 のうちで以下の二曲が特に良い。
Six Songs, Op. 2: No. 1, The World is Left Far Behind
Six Songs, Op. 2: No. 5, I Heard You
□ piano
9 Prelude Prelude Op.1 Prelude in C-Sharp Minor
by Marek Szlezer
シマノフスキの曲にはどうやら整った作品番号(オーパス)が付されていないようです。
この曲もあるサイトの曲名をそのまま記載したのですが,9 Prelude Prelude Op.1 曲集には,登載がありません。
また,あるサイトには以下の様にも書いていて「若書きの知られざるピースだ」と書いてあります。混乱しているんでしょう。確かに若書きの感はある。すごくよい若書きだが(笑)
An unknown piece by young Karol Szymanowski written around 1903, whose manuscript has been preserved in the archives of the polish newspaper “Meloman”. Found in 1996.
ピアノ曲は,後期ロマン派の馥郁たる香りがするものがある。
下記プレリュードもよいな。
Prelude Op 1 No 1
Prelude Op 1 No 2
by Przemysław Witek
9 Preludes, op.1 全曲
の演奏は,Violina Petrychenko が優れているかな。ウクライナのピアニストですね。
Prelude G major
V.Barvinsky(composer)
Violina Petrychenko は,なかなか良いな。筋肉の付き方もすごいし,太い腕と金太郎さんみたいな短い指から繰り出す音楽が非常によい(笑)。
東欧では有名なピアニストらしい。
Prelude in Memory of Shevchenko op. 13 A Minor
by Yakiv Stepovyi(composer)
彼女の演奏で,なかなかよい曲を発見した。録音は最悪だが。CD をゲットした。悪いのは録音ではなく,いつもの通り,youotube への up である。3名の作曲者のオムニバス,玉石混淆である。
作曲者は,wiki によれば 1883年10月20日- 1921年11月4日 は、ウクライナの作曲家、音楽教師、音楽評論家とある。
私好みの叙情的な曲だ。
Prelude Op 1 No 8
by Magdalena Baczewska
Variations in B flat minor Op. 3 Nos. 1-13
by Michał Szymanowski
これも,主題と変奏のくせに悪くない(笑)。
Variations on a Polish Tune Op.10
by JERZY STERCZYNSKI
この曲も尻上がりに良くなる。
etudes op 33
1916年作
奇妙に良いと言っておこうか(笑)。但し,演奏はやっかいだと思う。
病み上がりに聞くのは勘弁だな(笑)。
□ Vn & piano
Sonata d-moll Op.9
P. Piekutowska (violin)
B. Bilińska (piano)
こちらの方が定番演奏なんだろう。
1904年作 感心しない(笑)中期の作品であるが,悪くない(笑)。我ながら好みも1~3期全般に渡って節操がなく「混沌」としている(笑)。
Myths, Op. 30, M29: No. 1, The Fountain of Arethusa (Arr. for Flute & Piano)
Agata Igras-Sawicka(flute)
Mariusz Rutkowski(piano)
ひょっとしてすごい名曲じゃないか(笑),とても吹けるとは思えないが。演奏者は両名とも名人ですね。
原曲の楽器編成は調べられなかった。vn でした。Oistrakh が弾いている up がありました。