Bela Bartok
この作曲家の曲とラベルの曲には,奇妙に似ているところがある。
どこでも,どこまでも緻密なところだ。
いつ頃から聞いていたか,思い出せないが,LPレコードが何枚も転がっているところをみると,高校生から大学生の頃か。
最初は無論以下の弦楽4重奏曲からだ。
ロマンティックな1,2曲はもちろん,3~6曲までの尖っている曲も大好きだった。
その天才ぶりは,弦の奏でるメロディとリズムを聴けばわかる。
それと緊迫感が尋常ではない。色合いが少し異なるが Bach と同じ型の天才だ。
若い頃は,ジュリアードの文字通り尖った演奏が好きだった。
但し,以下の youtube up 音質悪し。LPで是非。
JuilliardSQ (1963)
Robert Mann (1920-2018), 1st Violin
Isidore Cohen (1922-2005), 2nd Violin
Raphael Hillyer (1914-2010), Viola
Claus Adam (1917-1983), Cello
但し,私の聞いていた1,2番の録音年不明 sony レコードです。Juilliard は,63年に精力的にバルトークを録音しているから多分63年でしょう。聞いて確かめろって?もうプレイヤーから音がでるか不明ですので勘弁。といいながらLPを勧めるなんて(笑)
String Quartet No. 2
とくに2楽章がよい。
String Quartet No. 4
by JuilliardSQ (1963)
String Quartet No. 5
by JuilliardSQ (1963)
String Quartet No. 6
by JuilliardSQ (1963)
この作曲家は,突然変異というべき人で,師匠もいない。もっとも音楽学者は新古典派なぞといろいろ言うが。
何かを手本にしたという曲もない。Bach は好きだったらしいし,また、ベートーベンを尊敬していたというものだからかベトベンの弦楽4重奏曲に比較されるが,まったく別物であることはいうまでもない。
長らく自国および周辺の民俗音楽を,いやアフリカまで民謡の採集に行ったことでも有名であるし,時々,東洋的な響きに気づくが,それらの採集の結果とも思えない。こんなに調性感のない尖った民謡があるはずがない(笑)。但し,痺れるような独特のリズム感はそうかもしれない。
将に,突然変異体なのである。太平洋のど真ん中に海からエベレストが聳え立っているような。
高校生や大学生の頃は小遣いが裕福なわけではなかったが,それでもブラームスと彼の人の弦楽の室内楽だけは,いろいろ漁った覚えがある。ブラームスって気違いじみた熱で弾くとバルトークに似ているのだが,どちらもどっぷりつかった。その挙げ句 cello を買ってみたが,全然,弾いてはいない。納戸で埃を被っている。10年前くらいにケースから出してみたが,膠が剥がれてばらばらになっていたので,楽器を修理したが未だに弾いていない(ケースにあったのですから埃を被っていたというのは比喩です;笑)
弦楽器を弾くには歳を取り過ぎていると既に小学生の頃から思い込んでいたので弾けないのである。
バルトークを聞いていると大学生の頃から26歳頃までの気狂いじみた思いがよみがえってくる。一人,深い山に分け入ったのもその頃である。
そのせいかどうか,彼以降の現代曲もあまり聴いてはいない。彼以降には,彼の書いた曲を超える曲はあるまいと思っていたので。
まあ,大分歳が行ってからショスタコービッチの4重奏曲はそこそこ聴いたが。
Quartet Integra
三澤響果/菊野凜太郎(Vn)
山本一輝(Va)
築地 杏里(Cell)
日本の若手がバルトーク音楽コンクールで四重奏曲第5番で1位を獲得したようだ。
やっとここまで来たか。
Allegro Barbaro
Kocsis Zoltán
超有名な曲であるが,初めて聞いたときはしばらく愕然としていた。
そして,その演奏者は Kocsis Zoltán であった。
若い頃のゾルタンの演奏は,いかにもバルトークのピアノ曲らしく非常にとがった出色なものであった。なぜか非常に嫉妬した。同学年だからだ(笑)
バルトークのピアノ曲でこれ以上の演奏を知らないが,彼が中年になって youtube に up されているのはかなり演奏が鈍っているように聞こえた。上記の演奏も鈍っている。録音も酷いモノだが。
「お主も疲れたか」と同学年の私はそう思ったモノである(笑)
そして彼が64才で亡くなっているのをつい最近知った。
呆然。自分の寿命も長くないことを知った。
Piano Sonata, Sz. 80
by TANISLAV KHRISTENKO
これも Kocsis Zoltán の演奏でよく聞いたものである。アレグロバルバロと双璧をなす曲だ。youtube にあるのは,これもアルゲリッチも含めどれも Zoltán の演奏に劣る。この演奏家はリズムが特に揺れすぎであるし,2楽想が美しくなく気に入らない。LPを探してください(笑)。
以下,珍しくもオーケストラの曲も挙げた。
The Miraculous Mandarin
BBC Symphony Orchestra
Edward Gardner, conductor
なんという野蛮な曲だ。心が躍り出すようだ。
一応,これが youtube の最高得点か。
理想とするにはもうちょっと足りない気がするが。
綺麗に聞こえすぎですね。
Music for strings, percussion and celesta
Philadelphia Orchestra
Conductor: Eugene Ormandy
うーん,理想には,ちょいと,いや全然(笑)。
Sonata for two Pianos and Percussion
Jenő Jandó
Ilona Prunyi
János Antal
Zoltán Varga
これは名演ですね。バルトークはリズムの達人であることはいうまでもなく,打楽器であるピアノを使った曲に秀抜なものが多いが,これも打楽器だけで作られた曲ですね。
自分の作った曲のパロディみたいな部分もある。Bach によく似ている。
これに2管編成の管弦楽を加えた協奏曲版である2台のピアノと打楽器のための協奏曲も非常に良い。
RTVE交響楽団
ワシリー・ペトレンコ(指揮)
こちらの演奏の方が野蛮で(笑)ブーレーズの模範演奏より好きだ。
Musique pour cordes, percussion et célesta
Orchestre Philharmonique de Radio France
弦チェレがこれしか見当たらなかった。残念。
L’Orchestre des Étudiants du Conservatoire de Paris
Zsolt Nagy, chef d’orchestre
こっちの方が旨いな。
さすが音楽の都の学音
この項も延々と続く。