【成田印旛法律事務所】成田市,佐倉市,四街道市,八街市,印西市,白井市,富里市,印旛郡,龍ケ崎市,稲敷市,船橋市及びその周辺の地域の皆様へ。 <相続・遺言,倒産,交通事故,家族関係その他の法律問題ならこちらの法律事務所へ>

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ご助言

 一番のご助言は,困ったことが起きたら,または起きそうだったら,直ちに事務所においでくださいということです(笑)。
 なお,左記に記載のとおり,予め電話や予約フォームからのご予約をお忘れなく。

  

「訴訟は本人には出来ない」-本人訴訟の是非-

☆ 「訴訟」ではありませんが,そもそも本人がやることを暗黙の前提にしている紛争解決制度があります。
  家事審判手続きでは本人が出頭するのが原則ですし,調停などもそうです。勝ち負けを前提としていない話合いの場だからです。それでも弁護士を付けた方が良いと言えます。
☆ 本人訴訟はその本人にとって好ましいものではありません。
  裁判官をしていた頃,当然のことながら弁護士が代理人とならない本人訴訟を相当数行いました。そのような経験を経て言えることは,本人訴訟はご本人にとって非常に宜しくありません。本人訴訟→裁判官の負担増大→訴訟の著しい遅延という問題もありますが,なによりも本人訴訟は本人の利益にならないどころか,勝てる訴訟も本人であるが故に的確な主張立証ができなかったり,そもそも裁判上の争い方のルールを知らないために不利益を自ら招来しているというものを相当数見かけました。
  こう言うと,一般の方の中には,裁判官が正しく事実を調査して正しい方を勝たせば良いのではないかという「遠山の金さん」的な発想をされる方がいますが,日本の民事訴訟法(近代国家では皆同じです)の下では裁判官はアンパイヤであるべきとされていて,弁護士が付いていない方に有利な助言をするなどの行動は,原則的に許されていないからです。私は,本来正しいと思える方がご本人の場合には釈明という形式でそれを結構やりましたが(笑),それでも,それは訴訟記録の中から浮かび上がる事実を事実から最も遠いところにいる裁判官がくみ取ったものにすぎなく,また,ご本人が助言に気づかないとか,または助言を生かす気が無ければそれまでという「助言」というものの限界がありました。そして,昨今は,弁護士を付けないというリスクは弁護士を依頼しない当事者の自己責任と割り切って,釈明もあまりしないという若手裁判官も増えているように見受けられました。そうすると尚更ですね。
☆ 自分で盲腸の手術をする医師がいますか。
  もし,貴方が本人訴訟をやる気なら「医者でも自分の盲腸の手術はせんでしょう。」と前職の頃に本人訴訟の当事者に私が言っていたことを思い出してください。本人訴訟でもかまわないと思われるケースは,訴状に記載されている内容が真実であり,また,反論すべき材料がないと弁護士との相談を経た上で認識している被告側くらいしか思いつきません。
☆ 弁護士の見分け方(これは難しい)
  もっとも,プロたる能力の欠けた弁護士に依頼するのは同じように危険かもしれません(笑)。危ない弁護士の割合は医者のそれの割合に近づいているというのが中堅以上の裁判官の大方の見解です(苦笑)。それに対する私の助言は,法律相談をしたときに(今ではほとんどの法律事務所では初回の法律相談を無料としていますから,これを利用しましょう。),良く弁護士の発言や対応を聞いて判断してくださいという程度のことしか言えません。医者の場合は,病院の周囲に「ヤブ」という評判が立っているかどうかで判断するという極めて有効適切な手段がありますが(笑),弁護士にはそういう方法がないのです。多数の弁護士を抱えている法律事務所だ,全国展開している事務所だ,テレビなどのマスコミで大々的に宣伝している事務所だ,元の依頼者がサイトで悪口を言っている事務所だ,裁判官の経歴を有する弁護士だ(笑)等々もあてになりません。他の弁護士との短時間の相談では,セカンドオピニオンを聞くというのも有効かどうか。

時効

  権利者が権利の行使を怠っていると,その権利が行使できなるという「時効」という怖い制度があります。時効期間満了のぎりぎりに事務所に来られるとさすがに手も足も出ない場合があります。請求書を書いて相手方住所地へ持参し,相手方本人かその同居の者に手渡す,又はポストに入れるということと,以上を証拠化するという方法がありますがいずれにせよ危うい。また,請求は,時効をストップするとして請求書をたびたび送れば時効は成立しないと考えている方もいますが,請求(催告)によって時効が延期する(時効中断と言います。)のは,1回に限り,かつ,6ヶ月以内に,更に,有効な中断方法(例:訴え提起)を取る必要があります。このように世間にざらにある「知恵」を信用してはなりません。インターネットサイト上の各種相談も鵜呑みにすべきではありません。  
  それが,弁護士の書いたものでもです。弁護士が酔っている時の相談や無料の相談は信用すべきではありません(笑)。その余のいわゆる有資格者の方のインターネット上の書き込みには思わず吹き出してしまうような誤りがあったりします。
  また,時効そのものでもなくても,正当な権利者が違法な状態を放置していることは,非常に,好ましくありません。裁判官はそこになんらかの合理的な理由を見いだそうとする生き物ですし,それが見つからない場合は,貴方の主張そのものの正当性に疑念を持つに至るからです。

DV被害を被ったら

☆ DV人間はそう簡単には更正しません。
  この人は私がいないと駄目なんだとか,まだ愛されているからと思い,また,子供のためと考えて,我慢を重ねることが最も危険です。配偶者を殴るなどの暴力に及ぶ傾向のある者は暴力を慢性化させます。貴方だけの努力で直せると考えるのは誤りのもとです。
☆ 大きな病院に行き,かつ専門機関に相談に行く。
  仮に,今回だけは我慢すると考えても,少なくとも,受傷後直ちに(受傷当日又は翌日に)大きな病院に行って治療を受けましょう。その際,配偶者から何時,どのような暴力を受けたかを明確に医師に伝えましょう。
  また,警察,警察が嫌なら 配偶者暴力相談支援センター(いわゆるDVセンター)にご相談に行ってください。そして警察にせよDVセンターにせよ,相談に行った先では,必ずDV被害として記録されたことを確認しておきましょう。そうでないと,特に警察では,単なる相談ごととして記録されないままか,されてもそのうち破棄されてしまう恐れがあるからです。
☆ 早いうちから弁護士に相談する。
  また,DV申立(暴力を振るう配偶者など(元配偶者や内縁配偶者を含む。)に対し被害者への6ヶ月間に渡る接近禁止や被害者との同居場所から2ヶ月に渡る退去命令を求める申立)は,弁護士を代理人として立てましょう。DV制度は,訴訟のような十分な審理もせずに,刑事制裁でその実効性を担保するという相手方に対し非常に厳しい命令を出す制度ですから,裁判官は得てして慎重になるものです。本人申立ですとうまく証拠を揃えられなくて取下を勧告されたり,申立が却下される場合が結構あります。本人申立のDV事件で1審は認容されたものの抗告審で却下された例がありましたが,私が別件訴訟でこの事件を再検討する機会がありましたが,却下した東京高裁の判断(当然,合議体の判断です。)がどう見ても事実誤認だったと思われる事例がありました。これは,将に,本人訴訟の悪い面が出てしまったものです。
  以上指摘したことに問題があるDV申立は,取下を勧告されたり,申立が認容されない場合があります。そうなると理不尽ながらも逆恨みしているはずの暴力的配偶者と貴方は向かい合わなければならないこととなって極めて危険な状態に陥ることとなります。
☆ もう一点重要なこと
  DV命令を,金科玉条のように信頼しないでください。こう言うのは法律家として,忸怩たるものがありますが,法的救済制度はいつも後追いです。DV命令に違反すれば逮捕されるとしても,その前に貴方が酷い攻撃をされることも大いにあり得るのです。死んでから貴方の相続人から損害賠償ができるなどと言っても意味がありますか。本当に,危ないときは「とっと」と逃げるのです。
  また,逆に,この制度が比較的簡単な手続で配偶者を「暴力的」と格付けてしまうため,離婚したいと考えている申立人が配偶者の暴力をでっち上げるとか,不倫がばれそうになっている申立人が逆襲の手段とするというか,数は少ないものの敵ながら「あっぱれな」というべき(笑)申立人も見受けられますので,いかに怒りを誘われても我を忘れて暴力を振るってはならないのです。ちょっと,立ち止まって下さい。「おかしいな。挑発されているかな。」と分かりますから。

交通事故の被害を受けたら

☆ 必ず警察と保険会社に連絡する。
  交通事故に遭遇した際は,加害者であろうと被害者であろうと,物損であろうと,相手方がなんと言おうと警察と保険会社に連絡することです。警察や保険会社に連絡しない場合は,保険金がでない場合があります。
☆ 実況見分に際して
  人身事故の場合は,当日,警察は必ず実況見分を行いますが,警察官の中には能力の高い者もいればそうでない者もいます。自分の言い分がきちんと録取されているかどうかを確認してください。また,裁判(刑事,民事とも)で一番重要視されるのは,事故直後に行った実況見分です。後になって記録の誤り,記憶違いを言ってもなかなか信用されません。なるべく落ち着いて実況見分に望みましょう。また,経験していないものを経験しているかのごとく述べるのもよろしくありませんし,曖昧なものを無理にはっきりしているかのように述べるのも止めた方が宜しいでしょう。けがをするような事故の場合,衝撃を受ける直前直後の記憶はあいまいであったり,そもそも記憶がないのが普通なのです。また,交通事故の場合,客観的証拠がはっきり残っている場合が多く,嘘がばれやすく,ばれると貴方の全部の主張が信用されなくなってしまう危険があります。
  また,仕事をしたくない警察官は,面倒な実況見分調書を作成するのを嫌がります。職務怠慢という他ありませんが,一つは人損にしないように働きかけます。刑事事件は物損では開始しないので担当警察官は仕事をひとつ減らせることになるからです。例えば,傷害を被った被害者に対し「貴方も過失があるんだし人損にしない方がいいいよ。」といって人損が発生しているのに目を瞑るという酷いやり方です。最近,この実例を知りました。
☆ 直ちに病院へ行き,治療が長引きそうなら早めに大きな権威のある病院で治療する。
  忙しいからといって病院へ行くのを後回しにしてはいけません。また,最初の治療の際には,すべての症状(痛いところ,違和感のあるところ)を医師に過不足なく述べましょう。忙しい病院などでは重傷部位へ注意が固着されて得てして後に後遺障害が発生しがちな部位の患者の痛みに対する対応が疎かになる場合があります。医師が患者の主訴に対応していないような様子があるならメモ(書面)を出しましょう。「私のここの痛みを先生無視しないで」というメモを。また,もともと持病のために痛みのある箇所があるときは,その持病と持病による痛みの憎悪の程度をきちんと述べること(「もともと....に持病があり痛みもあったのですが,今度の事故で非常に痛みが増してしまいました。」など)も必要です。必ず,保険会社は「従前から治療を受けていたので本件事故と関係ない」とクレームにします。尤も,この助言をお読みになるのは,普通,ご自分のこれらの訴えがカルテに記載されていない,又は正確に記載されていないことに気が付いてからでしょうからあまり意味が無いか(苦笑)
  治療が長引そうなら早めに大きな権威のある病院で治療を受けましょう。個人病院(保険会社や裁判所から詐病を見抜けない,または荷担しているという疑いの目で見られている病院もあります。)や鍼灸院での長い治療は保険会社からクレームの元になります。
  また,医師は自分の治療の効果に相当な期待をしていますから,治療が長引いている患者は治らないことについて無意識のうちに罪悪感を感じがちで,その結果,心にもなく「良くなってきた」旨の発言をしてしまう場合があります。そして,その結果がカルテに記載されてしまうと,「あるときは直った,あるときは直ってない。」という矛盾したカルテとなって,これを見る第三者(裁判官)に不審を感じさせることになってしまいます。
  医師に迎合することなく,自分の症状を正しく述べましょう。
☆ 弁護士に早めに相談すること
  事故後,できるだけ早く弁護士に相談することです。交通事故の被害者の相手は,加害者本人ではなく保険会社というプロ集団です。これらのプロは,被害者からの請求をいかにして減らすかということを日常の仕事としている人たちです。「あの保険会社の担当者はいい方」という組織と担当者個人の個性を区別しないで臨むと貴方は後に後悔するかもしれません。また,弁護士を付けない被害者本人が,示談を代行をする保険会社と交渉すると保険会社の内部基準に従った低い額の提示しか受けられません。貴方も十分な力を持つ味方(弁護士)を代理人として保険会社との交渉に臨むべきでしょう。

痴漢に関すること 「君子危うきに近寄ることなかれ」

  電車の中の痴漢が逮捕されたということは,良く新聞などで報ぜられるているところで,女性に敵視されるのは当然な輩ですが,裁判官なぞをしていると,これでもかという具合に多数の女性の敵に対する逮捕勾留の請求が回ってきます。大規模庁の民事部の裁判官なら年に数えるくらいの令状当番の宿直で済むんですが,支部くらいになるとしばしば宿直をし,宿直をやる度に来るのが,電車の中の痴漢,トイレの中での痴漢,エスカレータなどでの盗撮という性に関わる事件ですが,被疑者の中には,立派な会社に勤務している者などがいたりして,理性では抑止ができにくい犯罪のようです。嘗て,地方裁判所の所長がこれで逮捕されたことがありましたもんね(笑)。よって,ここではそのような傾向を持った人たちに「やるな」と言っても意味がないかもしれません。日本では,このような人たちに対する抑止力のあまりない「処罰」がされても「治療」の研究がされていないように見えるのが残念です。
  ここで言いたいのは,この種事件のうち電車の中のお触りなどには,結構,冤罪が含まれている可能性があるということです。昨今では,捜査側でも被疑者の手に付いている微細な繊維などと被害者の着衣などを比較して触っていたかを判断するなどという客観的な証拠を挙げるようになっていますから,全体的には冤罪は減っているのかもしれませんが,いざとなると,被疑者と被害者の言い分のどちらが本当らしいかというすれすれの悩ましいケースもあるようです。混雑している電車の中では何かの拍子に女性の体に自分の手が触れてしまうことがないとは言えません。そういう場合に,相手の女性から睨まれたことはありませんか。そういう時は両手でつり革を捉まるとか正反対の方を向くとかするのが一番です。痴漢をでっちあげて恐喝に及んでいるようなたくましい女性たちもいるそうですし,逮捕されたら自らの無実を証明しなくてはならない側(憲法,刑事訴訟法の建前とは反対ですがこれが実情)に回るのは嫌でしょう。これは優秀な弁護人が付いても結構大変なのです。だから,このようなちょっとした気遣いをすれば,そのような冤罪被害にも遭わないし,逆に,痴漢が目の前にいると恐慌を来しているかもしれない女性に対する優しい心遣いにもなるでしょう。

家庭関連事件

 不倫事件
  配偶者が不倫をしているからといってその勤め先に行って騒ぎ立てるのは宜しくありません。不倫をしている配偶者が憎いからといって,そのようなことをすると,逆に,名誉毀損を理由に損害賠償の請求を受けたりします。また,配偶者が勤め先に気兼ねして勤め先を辞めてしまうと婚姻費用分担や養育料の請求に多大な影響を及ぼします。配偶者に対するこのような不隠な攻撃は youTube などで無責任に放言されているように貴方にとって「すかっ」とする結果にはならなく,却って「修羅場」になってしまいます。

遺言書や相続に関する争い

  裁判所は相続紛争には手を焼いています。家庭裁判所も地方裁判所もこの種事件の裁判は長期化しています。裁判官の中には,冗談半分,相続争いが5年を経過したら相続財産は国庫に没収させるという法制度を新設するのが唯一の平和的な解決だ(笑)という者もいます。
  相続財産が不動産しかないとか,ある程度以上の財産を保有する家庭というケースだと相続人間で非情な争いになることが多いのです。
  特に,果てしないのない憎しみの連鎖に陥るのは,貴方の書いた遺言書又は書かない遺言書を原因とする場合が相当あります。
  「当家は,由緒ある旧家だから長子相続とするんだ。」という長男又は跡継ぎとされている者にすべての財産を残すというような遺言は,その余の子供たちからすると親(貴方)は自分を愛していなかったと潜在的に受け止めるので,本来,十分に理性を有すべき相続人たちが裁判手続を何度やっても解決しないような激しい争いを繰り返すことがあります。カイン・コンプレックスなる心理学の知見を引用するまでもなく,ただでさえ兄弟姉妹間には葛藤があるのですから,こんな遺言をすると火に油というべきものになります。当家は長子相続を例とするといっても貴方の長男以外の子供や長男の子供たちが争えば貴方の望む結果にはなりません。2代,3代と経るうちには「長子相続を全うして家を残す」等とは単なるお題目になりかねません。
  そして,自分の子供たちの間に彼らが墓に入っても解決しないような禍根を残すことは貴方の本意ではないはずです。金儲けを尊ぶ弁護士は喜ぶかもしれませんが(笑)。
  相続人間の争いを減らす最も良い方法は,普段から親の愛情を十分に注ぎ(相手は大きな大人でしょうが。笑),遺言は,相続人らの相続財産への貢献度や親たちに対する介護の程度について,事実を指摘しながら公平な分配をするものが良く,将に,親の最後の訓戒,最後の愛情を示すものであるべきで,その他独自の価値観や感情に駆られたような遺言は,子供たちの間に生涯続く紛争の原因となるでしょう。

 

普段から後で他人からどうみられるかということを考える(事実の証拠化)

  親しい友人や親戚間で,金銭の貸し借りがされることはよくありますが,そのような間柄でも,必ず,借用書などの書面を作りましょう。
  親しい間柄だからとして書面化しないと,借りた方に借りていないと言い張る悪心を起こさせる危険が生じ,そうなると両者間の関係は経済的理由で返せない場合より,酷く破綻するでしょう。
  どうも,日本人は未だに事実の証拠化という作業に慣れていないようです。継続的な取引のある企業間でも,まったく契約書を作らず,また,物品やサービスの有償提供といった場合にその提供した事実をも証明するものがないというような事態も希ではありません。そうするといくら優秀な弁護士がついたとしてもやれることには限度があります。例えば,倒産の噂が出ている企業に物品を販売していた会社が代金の回収が焦げ付きそうだという場合,きちんと売買と納品を裏付ける書類さえあれば,保全処分などの手が打てます。特に,まだ,相手方の倉庫にそれが存在する場合などには他の債権者に先立てる手が打てます。
  町の工務店が,一般消費者である施主から建築を請負う場合,内容が希薄な請負契約書は作るけれども,設計図書や仕様書に施主の同意の印もなく,また,度重なる仕様変更についてなんらの書面も作っていない場合があります。こういう事業者側(プロ側)がやろうとすれば行えることをしなかった場合,請負業者側の追加変更の主張に対して裁判所は段々厳しい判断をするようになってきました。また,元請けと下請け間の重要な折衝について,なんらの資料がないために迷う裁判所が下す判断は貴方の会社にとって最悪というべき場合があるでしょう。
  以上のいずれの場合であっても,両者間の契約書があればそれに超したことはありませんが,両者間で打ち合わせの議事録が作られていた,FAXのやりとりが残っていた,メールが残っていたというだけでも貴方の主張が裏付けられる可能性がぐっと高まるのです。
  長らく続いた不況のために,総務部門のマンパワーが足りない,そもそも管理部門というものがないというシステムは貴方の企業の将来に関わります。

 

債務整理,個人再生,非事業者の自己破産

  一時の手元不如意から,医療費がかさんでしまったので,親兄弟の苦境を見かねて援助するため,離婚により返せるはずだった住宅ローンの毎月払いの不足額を取りあえず一時しのぎで,パチンコの負けが込んできてあらゆる金策をした結果等々,原因はさまざまですが,気が付けばあっというまにサラ金やカードローンなどからの借金が膨らんでしまいます。酷い場合は「ヤミ金」という資格のない貸金業者からも借り入れてしまい,毎月の支払のために綱渡りのような金繰りをしている貴方,支払が遅れがちで業者から強く返済を迫れている貴方,自殺でもしてしまおうと考えている貴方,でも,借金が払えないからといって自分の命と引換えにする必要はまったくありません。家族も道連れ?とんでもありません。
  弁護士が債務整理について依頼を受ければ,業者に介入通知というものを出します。そうすると借金の催促が止まります。貴方に,うるさく言ってくる業者もいなくなります。
  そして,弁護士といかなる経済的更生が好ましいか相談しましょう。
  ・ 任意整理
  ・ 特定調停
  ・ 民事再生
  ・ 自己破産
 といろいろ貴方の症状に合わせて処方箋を出してくれるでしょう。以上の法的整理が整えば,子供に対する養育料など極く一部の例外もありますが,普通の方であれば法律的にも残債務の支払を免れることができます。また,民事再生が可能であれば住宅ローンの残る自宅も手放す必要がなくなるかもしれません。
 もう一度,言います。夜逃げしたり,自殺したりする必要はまったくありません。

時間外手当請求

 ☆労働者の皆さんへ

  この種の請求で一番難しいのは,時間外にどれだけ働いたかの証明です。「自分はちゃんと記憶している。」といっても裁判官には通用しません。立証責任が使用者側に事実上移りつつある時代と言ってもやっぱり労働者側で説得力のある立証が相当程度できなくてはなりません。
  どういう立証方法があるか。
  裁判例では,実に細かい認定がされるものとザックリと割合的認定がされるものなど様々です。また,仕事や職場環境によっては工夫を要します。まず,なるべく早くご相談下さい。一緒に考えましょう。

 ☆経営者の皆さんへ

  日本の経営者の常識と法律が齟齬している典型が,「労働法」と「独占禁止法」です。
  労働者対応などをまったく考えていないと,いざ相当数の労働者に造反を起こされたとき,真っ先に攻撃される理由のひとつがこれです。使用者側の弁護士の脅しは,「御社はこれでつぶれるかもしれません。」です。冗談ではありません。きちんと払っていない残業代を計算したことがありますか。それをすべての部下から請求されたどうなりますか。「うちの会社は残業代を計算するのが面倒だから予め本給に加算しているから大丈夫だあ。」とか放言してませんか。危ないな。どう危ないか分からない方は是非当事務所にご相談来て下さい(笑)。

自分の弁護士に嘘をいうと自分に跳ね返ってくる

  法律実務家は,人の嘘を見破る生業だと言っても過言ではありません。でも,患者の嘘を見破れる客観的な検査方法などがある医者とは弁護士は違いますし,依頼者の言うことを初めから疑っていては弁護士は仕事になりませんし,依頼者の権利を擁護し損なう恐れもでてきます。まあ,それでも経験を積んだ弁護士ならば「ちょいとおかしいな」と思うものです。まあ,「私の恋人が自分は誠実な女だと誓うとき,嘘と知りつつ信じるふりをする」のではなく,依頼者の言を疑いつつも法的処理の前提にせざるを得ないのです。
  そうして,弁護士と相談するとき,肝腎なことを隠したり,嘘をついて,事件の依頼をしたりすると,相手は当然厳しく争ってきますし,それが重要な争点ともなれば,たいていの場合嘘はばれてしまいます。なかなかばれない嘘をつくのはかなりの才能が要りますし,過去のある時点で正確に争いの生ずる未来を予測するという能力も要ります。そしてそんな才能は貴方にはないと断言しておきましょう(笑)。事実というのはアナログの世界ですから無限の詳細さをもっています。虚構は,その無限に詳細な世界と文字通り無数の矛盾を生んでしまうからです。
  弁護士は,依頼者から騙されることはしばしばあって「依頼者に騙されて一人前」という曰くありげな格言のごときものが先輩から後輩法曹に伝授されるもんです(笑)が,貴方の嘘がばれた時,それでも一番「まいったな」と思っているのは貴方の弁護士なんです。特に,(法律家にとって)稚拙な嘘から自分の渾身の努力が雲散霧消したときには「何をか言わんや」の心境でしょう。
  しかも,あなたがありのままを言うとまずいと思った事実が却って有利に働く場合があったり,最初から,事実をありのままを述べていれば違った法律構成だって可能な場合もあるのです。嘘をついて一番まずいのはあなたの主張のどれもが信用されなくなってしまうということ,またはその余の面倒な事実認定をスキップするための格好な口実(「容易く措信できない。」という言い回しで)を怠惰な裁判官に与えてしまう可能性すらあるのです。医者と患者の関係と同じですね。患者の嘘は結局患者に跳ね返ってくるのです。そう思ったら,安易に,自分の弁護士にも,都合が悪いから取りあえず嘘を言っておこうなどとは「容易くは」思えないはずですがどうでしょうか。

続く